張り上げてしまい喉が痛い!Pull up(プルアップ)とは?
ボイストレーナーの東本です。
早速ですが、歌を歌う中で以下の症状いずれかを感じたことはありますか?
症状1、高音になるに連れ、声が大きくなり、ボリュームコントロールが効かない。
症状2、高音になるに連れ、どの発音も母音が「い」や「え」に寄ってきてしまう。
症状3、高音を歌うと喉に負担を感じ、何曲か歌うと声が枯れることがある。
症状4、高い音はどちらかというと、少しフラット傾向にある。また、しゃくり上げて歌うことが多い。
症状5、男性ならF#4〜A4、女性ならB♭4〜D5辺りがキツい!
如何でしょうか?
これらの症状に心当たりがある方は、Pull up(プルアップ)と言われる状態にある可能性が高いです。
Pull upとは
まず知っておいて欲しいこととして、声帯(声を作る振動を生み出す部位)の周りには複数の筋肉が存在します。
その中の一つ、声帯と並走し存在する筋肉、甲状披裂筋(サイロアリテノイド)。
この赤く色が付いているところが甲状披裂筋です。
この甲状披裂筋が働き声帯に緊張が与えられると、太くしっかりとした地声が作られる訳です。
Pull upは、この甲状披裂筋が優勢に働き、地声を強く発声するための筋肉状態のままで、高音を発声しようとする時に起こる症状を指します。
地声を発声する状態では、カバーできる音域に限界があります。
試しにピアノなどで単音を弾きながらロングトーンをしてみてください。
Ahーーーーで大丈夫です。
半音ずつ上がっていくと何処かで少しずつ首回りに無理を感じはじめます。
少しでも抵抗感がある音の一つ手前が、貴方の地声の最高音となります。
恐らく意外と低い位置に存在していませんか?
もちろん出そうと思えばもっと上まで発声することは可能ですよね?
しかし、少しでも抵抗感がある音はすでに、この甲状披裂筋優勢の発声状態で出すべきでは無いのです。
正しい別の出し方に変化させていく必要があります。
ここで伝えたいことは2つです!
その1
高音を楽にしっかりと出したいならまず、Pull upをやめること!
Pullをしている状態の先に正しい発声はありません。
いくら頑張ってもこの問題が解決することは難しいでしょう。
その2
貴方の地声の最高音をしっかりと見極めること。
地声の最高音を一歩でも踏み込むと、その先にあるのはPullの一本道です。
ここが辛い高音発声への片道切符を渡させる分岐点なのです。